やっと年末 

daily-komagome2007-12-31

 やっと講習も終わり一息だっだが、昨夜の銭湯があまりに気持ちよくて、そのままだらだらと寝正月へ突入する予感がしたので、その悪い予感を晴らすべく、まずは嫁と自転車にまたがり千駄木へ。“古書ほうろう”で二冊。

 その後“往来堂”まで足を延ばし、『en-taxi』(2008・winter)を買い、そのまま喫茶店“乱歩”で読書。『en-taxi』は、昔の気どらないB5版小冊子の方が、逆に中身が詰まったストリート文芸マガジンぽくって好きだったので、実は大冊になってここ2シーズンぐらいは買わなかった。が、今回の冬希号はなかなか読み応えがありそう。「アメリカ特集」や「写真機特集」などに加え、中原中也をめぐる対談、佐藤優との対談、落語関係の連載などなど、さすがの垂涎もの紙面で誘ってきた。
 しかし、時代を一緒に生きていると思える雑誌が、自分の横にあるっていうのは幸せだ。高校時代は、無理して『現代思想』や『ユリイカ』なんかを読みあさり、学部時代からは野暮な『批評空間』をご苦労にも買い続け、修士時代はこれまたダサい『重力』や、リニューアルした『早稲田文学』のお供をしたが、結局どれも煮え切らなかった。しかし、一時、仕事を移って本当に辛かったときに唯一友達だと思えたのは結局『en-taxi』だけだった。年に四度の発刊日をまだかまだかと指折り数え、買ったその日に喫茶店でむさぼり読んでどれだけ慰められたか・・・。戦時中、小林秀雄編集の『文学界』を戦地で読んだ青年が多かったとどこかで読んだが、結局、人が辛いときに支えてくれない雑誌など、底の知れた「知的お飾り」にしかすぎない。
 帰路、谷中銀座で夕食の具材を買って帰宅。
 夜は、『舞妓 Haaaan!!!』(水田伸生監督・宮藤官九郎脚本/東宝・2007年/120min)を観る。この手のコメディにコメントを付けるのも野暮だが、しかし、何も考えず大笑いできる映画ってのは、それだけで貴重でしょう。
 それにしても『下妻物語』にしても『嫌われ松子の一生』にしてもそうだったが、映画を観る前に不信を強い、それに反して観た後はすがすがしいというのは、やはり宣伝の仕方に問題があるのではないだろうか・・・・?特に最近の“映像派コメディ映画”みたいな作品は狙いすぎてていて、まさしく地雷映画が多すぎるが、しかしこの『舞妓 Haaaan!!!』に限ってはご安心を。ほとんど気色の悪い阿部サダヲの演戯に負ってはいるが、しかしただただ無意味に下らなく面白い。作品“外”のリアリティはいざ知らず、作品“内”リアリティにはどっぷり浸かれます