浅草と銭湯と映画と古本

daily-komagome2007-09-17

 日曜は、お彼岸と言うことでもあり、嫁方のお墓を参るために、浅草の浄土真宗東本願寺へ。うちのは、西本願寺だから、これで西と東を参ったことになる。それにしても秋だとは思えない暑さ。
 帰路、浅草の雷門まで足を延ばすが、凄い人混みでもうクタクタ。

 夜、カワサキを誘って、殿上湯へ。今日一日の汗を流す。
 深夜、サウンドトラックは持ってるくせに、まだ未見というカワサキのために、ジム・ジャームッシュの『ブロークン・フラワーズ』を再度観る。いいね。もしかすると、今までのジャームッシュの中では最高傑作じゃないか。誰もが自分の過去と現在の間に張られているはずのか細い糸を繋げたく、自分の宿命を演技したくて仕方がないにも拘わらず、世界は断片=偶然性に満ちているものだから、ふと気が付けば「自分の人生」などという物語は、実は空しいがらくたを寄せ集めただけの“深読み”なのかも知れないと立ち止まってしまい、いや故に、それでもなお“読まず”にはいられないこの世界=人生の滑稽な悲しみがじんわりと伝わってくるという映画。でもって、ジャームッシュの場合、この“読み”が、過去の自分へのセンチメンタルジャーニーになっていて、それがそのままロードムーヴィーになっているという余裕=ユーモアつき。
 風呂上がりに、酒を片手に愉楽の映画を見るといった以上の贅沢が他にあろうか・・・・。 

 で、今日は、論文の註釈付けの合間を縫って、千駄木ブーザンゴ(古本カフェ)で息抜き。そこで二冊拾う。

 驚いたのは、アーサー・シモンズの『エスター・カーン』の序文を、あの『二十歳の死』や『魂を救え!』、そして『そして僕は恋をする』を監督したアルノー・デプレシャンが書いている事だ。もちろん、『エスター・カーン』を映画化したわけだから不思議ではないのだけど、よくありがちな撮影現場の余談話ではなく、正面からの文学理解を丁寧に、まっとうに書いている。やっぱりデプレシャンって素敵なんだなぁ。