小品の心地よさ 

daily-komagome2007-10-08

 朝起きてから、家事を済ませて後、延々引きこもってのレジュメ作成。構成は出来ているのに、いざ書き出すと引用部分のカッティングやら、繋ぎやらの編集作業に悩まされる。まぁ、書いてみて初めて自分が何を構成できているのか、どこまで厳密なのか、本当は何が言いたいのかが分かるというもの。進みは遅くなるものの、それがなきゃ、書く楽しみがないがないのも確かである・・・・。

 夜は、久しぶりにシバノ来訪。一緒に『ラベンダー・ヒル・モブ』(チャールズ・クライトン監督/1951年・イギリス/81min)を観る。『ワンダとダイヤと優しい奴ら』 (1988)で知られる、チャールズ・クライトンだが、1950年代初頭に、イギリスでこんなにお洒落な佳品を撮っていたんですね。ワイルダーのスラップ・スティックコメディに似てはいるが、ワイルダーよりサスペンスフルで、しかも、うるさくない。たった81分で犯罪モノを纏め上げるその腕も確かなら、特に後半の畳みかける話法は普通に凄い。
 それにしても当時のプログラム・ピクチャーの名品って、どれも観客への礼儀をわきまえている。「自己表現」や「映画的主題」などを振り回して、こっちの生活に土足で踏み込むような野暮な真似はしない。まずは観客との距離を前提に慎重に語りかけながら、その形式=型にこっちが「付き合ってもいいかなぁ〜」とか思い出す頃合いを測って、一気にスピード上げて畳み込み、決して不快感を後に引きずらないようにオチをつけてからスッと引いていく。で気が付くと、たった1時間半しかたっていないという爽快感。しかも、単に下品な娯楽という以上に、その笑いや、サスペンスには人間の味がユーモラスに盛られている。つまり、観た後に見上げると空が青いのだ(って、昨日観たのは深夜だけど・・・・)。三時間以上もウジウジと「自己表現」などしやがった『インランド・エンパイア』のリンチに見せてやりたいね。